ケイスケ

キャッツのケイスケのレビュー・感想・評価

キャッツ(2019年製作の映画)
3.2
なんだこれ、風邪ひいた時に見る夢か?

空に満月が昇ったある晩、ロンドンの一角にあるゴミ捨て場には個性あふれる“ジェリクルキャッツ”が集う。それは生涯にたった一度、新しい人生を始めることができる一匹の猫が選出される特別な舞踏会が催される夜だった。

スタッフや役者たちが全力でやり切った結果、その全てが間違ってしまったとんでもねぇ珍味。これは同じトム・フーパー監督の『レ・ミゼラブル』よりも『ロッキー・ホラー・ショー』とか『ショック・トリートメント』とかのカルト的なミュージカル映画に近いと思う。

そもそも当たり前の話をしますが舞台では本物の猫なんて出せるわけないから、人間が演じており観客も“本物の猫”として認識して見てるわけですよね。だから映画にするときはキャラクター化した猫のCGアニメにしても問題ないんですけど、それじゃキャッツを題材にした意味が無いわけですし。だったらキャッツの映画化自体がそもそもダメなんじゃねーか!

正直、「誰か止める奴はいなかったのか?」と思える内容ではあるのですが…個人的にはカルト映画として観れば嫌いじゃないです。初めの方でジェニエニドッツが股を開いて歌い出した瞬間「あれ?これもしかしたら色んな意味で面白いんじゃないか?」と錯覚してきた。

吹替のクオリティは素晴らしいし、キャストの演技とダンスは間違いなく一級です。舞台のセットだと出来ないような、踊る場所を移動しながらのダイナミックなミュージカルシーンも映画ならでは。ただ正直なところ肝心のミュージカルシーンがあんまり面白くないって問題もあるんだけど笑。

制作スタジオが1億ドル近い損失を出したとか、ゴールデンラズベリー賞6部門受賞とか やべー結果を残した本作ですが、多分ここまで大酷評を受ける映画では無いんじゃないかな…と個人的には思う。

そんな感じであらゆる意味で間違いだらけの作品ですが、間違いから生まれたイレギュラー的な面白さもあると思う。100分くらい経ってから「猫は犬にあらず」って歌詞が出てくるのは面白すぎるだろ。でも楽しい映画なのは間違いないので色んな意味でオススメです。