ぬーたん

マッチポイントのぬーたんのレビュー・感想・評価

マッチポイント(2005年製作の映画)
4.0
大昔にウディ・アレンの映画を観て苦手だなあと思ってずっと敬遠していた。
あの女性問題も引いたし!
たまたま観たここ10年程の作品は良作だったので、今作も観てみた。
今迄観た数は少ないがアレンの作品では一番好き。
監督が老年になりちょっと変わって来たような、クセが弱まったような気がするが・・。
趣味が合って来たわ。

2005年作品。『マッチポイント』のタイトル。
テニスの試合。最後のボールがネットに掛かって、さてどちらに落ちるのか?勝敗はそれで決まる。
というオープニングの上手さ。
主人公はまさにプロテニス選手だった。
この主人公クリスをジョナサン・リース=マイヤーズ。
役と同じくアイルランド出身の瞳が綺麗な俳優。
私は『奇跡のシンフォニー』が印象に残っている。
『M:i:Ⅲ』にも出ていたらしいけど記憶にない。
私生活では家庭的に恵まれず、その影響か、問題児として有名。
今作のクリスは実に難しい役だが、見事に演じた。
ただ、ちょっと魅力が今一つ。
ストーリーの展開で『太陽がいっぱい』を思い出したりしたものだから、アラン・ドロンと比べてしまった。
ただ今作ではドロン的な人を惑わす役どころはノーラ。
スカーレット・ヨハンセンが演じる、悪女風。
実際は悪女というほどではなく、むしろ、被害者側的なピュアな面を持つ女性であるけれど。
誰もを夢中にさせるその魅力的女性にピッタリな、色気。
厚い唇と抜群のスタイル。
クールかと思えば情熱的。
毅然とした女性というわけではなく、ヒステリックで扱いが難しい。
友人トムをマシュー・グッド。
はて、何処かで観たなあと調べたら、『ダウントン・アビー』のカー・レーサー、ヘンリー・タルボット!
なかなか情熱的な好青年を演じたが、印象に残らなかったな。
その妹クロエをエミリー・モーティマー。
ちょっと地味。
兄妹の父をブライアン・コックス。
『25時』でノートンの父親を演じた。
母をペネロープ・ウィルトン。
この方はすぐに気が付いた『ダウントン・アビー』のマシューのお母さん。
クセのある役で面白かった。

舞台はロンドンで、大きな窓から見るビッグベンやテムズ川の壮大な景色。
ウェストミンスター宮殿やロンドンの名所が次々と映し出され、ヨーロッパ好きには嬉しい。
オペラをボックス席で観る辺りはオペラの高らかな歌声と共に『ゴッドファーザーⅢ』を思い出したり、よく使われるシーンだ。
ストーリーは割と良くあるパターンで、ただその展開がやはり面白く目が離せない。
カメラアングルや小道具が上手く、ロンドンの景色と相まって美しい画になっていて洒落ている。
結局は金か愛かなのかな?と観ていたが、色々と考えさせられた。

そのボールは自分側か相手側か、どちらかに落ちる。
どちらかが勝者で、もう一人は敗者。
でも。
さて、それだけなのか。
これが人生の一コマとしたら、この先の長い人生に、この勝敗がどう影響していくのか。
それは分からない。

サスペンスなので内容は書けないが、面白かった。
アレン、現在82歳。
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