このレビューはネタバレを含みます
運が味方をし莫大な富を有する一家に入り込んだ元テニスプレイヤーのクリス。テニスのレッスンを受け持ったトムの妹クロエとの交際も始まり順調に思えた引退後の生活も、トムのガールフレンド、ノラとの出会いが歯車を狂わす全ての引き金に。
ウディアレンが指揮を執り、キャストも豪華とあって期待値は低くなかっただけに納得のいく120分間ではなかった。単なる個人的な傾向に過ぎないが、ウディアレン作品が、ではなく、ウディアレンが自ら演じるウディアレン作品が好みなのかもしれない。
オープニングで注視するよう促される運という要素も、無論そのように観ようと前のめりになれば可能ではあろうが、作品に鋭く効いてくることは片手で数えるほどであって、終盤に盛り込まれたサスペンスの要素も結末のための味付け程度にしか感じられなかった。あれだけ登場人物があって、人間関係もしっかり描き出せていたのにも関わらず当てられたスポットは余りにも小さかった。
それでも、ウディアレンに特有のこの、毒にも薬にもならない雰囲気は存分に味わうことが出来た。
