元プロテニス・プレイヤーのクリスは、大金持ちのトムと親しくなり、やがて彼の妹クロエと結婚。
しかし、トムの婚約者で、セクシーなアメリカ人女優のノラに心を奪われ、不倫の関係に陥ってしまう。
初のロンドン撮影を行ったウディ・アレン監督作。
恋愛サスペンス…とあったが、サスペンスってそういうことか。
イギリスが舞台なのですが、意外に英語が聞きとりやすいです。
ウディ・アレンの映画といわれなければ分からないくらい今までのウディ・アレンのスタイルから完全に離れた映画。
話の展開といい、映像といい、白黒にしたらまるで1940年代のクラシック映画を見ているような錯覚さえ覚える。
しかし、上流階級の人々の描き方、ディテイル、人生がコントロール出来ないものというシニカルな視点はやはりウディ・アレンのものでした。
ストーリーは、魔性の女と純真な女性のはざ間で本能と理性、欲望と打算の葛藤に悩む男の恋愛と悲劇。
微妙なぬるい男のぬるい恋愛モノかと思ったら、後半から、ぬるい男故に陥ってしまう非道な過ちを辛辣に描き出しています。
主要な登場人物4人の関係を整理して考えてみると、すごくどろどろな感じですが、クリスを通して描かれる愛欲と罪悪感に揺れ動く濃厚な人間ドラマが見どころ。
努力をする人を真っ向から否定し、運こそ全てといった完全に人生なめてる雰囲気の映画です。
運というのは確実に人生に左右するものだと思う。
結果は努力に関係なく出るものだから、良くも悪くも結果ありきの運なのです。
この3つの相関+比較難しいですね。
そんなことより愛か権力(お金)か。
「運」に重きを落としすぎですが、それがこの映画のキーなのでそれでいいのかもですね。
また、サントラのオペラ音楽がこの映画の格を上げていたような気がする。
舞台がロンドンで、ロンドンの曇り空と歴史的な建物がまたスタイリッシュな中に不気味さを描く格好の材料になっていた。
で、前置きはこれくらいにして本題なんですが、とにかくこの主人公の男がちっとも魅力的じゃない。
表情に乏しいし、自分勝手で、利己的で、常に目が死んだ魚の目。
というかこの主人公って最低だな!
クソだな!!!
マジ最低!最悪!!クズだな!!!!
最終的に最悪の手段で追い込まれた状況から脱しようとする。
主人公の根底にあるのは、どのイギリス映画にも共通する「階級コンプレックス」でしょうねえ・・・お金というより。
しかしスカーレット・ヨハンソンは最高。
めちゃくちゃ美人。
セクシーダイナマイト。
それだけでも観る価値あり。
単純なようでいて深く、そして見ごたえのある映画らしい映画でした。
まったく共感は出来ないが。