劇的な結ばれ方をした満男と泉ちゃんだったが結婚していなかったのだという
なぜ？
ドラマを作るには満男と泉は結婚していてはいけないしお互い家庭があった方がいっそう複雑になる
ドラマとしては理にかなった選択だったのが分かる
泉ちゃんの家庭の複雑さは相変わらずでややステレオタイプだったりするのだが感情の綾の付け方はやはり見事である
ただのボーナストラックではないリミックスでもないしっかりしたドラマが出来上がっている
あの蛇足だった49作目とは大きく異なっている
しかし泉ちゃんが負担に感じるといけないと思って妻と死別した事を隠していたと告白する満男と、それを受けて満男にキスをする泉ちゃんの行動は引っかかってしまった
不器用だったり大胆だったりするのだろうが泉ちゃんの感情はどういうことなのだろうか
泉ちゃんの家族は全く描かれていないのでよく分からないのだがあまりうまくいっていないのだろうか
それともアレジの家庭のようなものなのだろうか（僅かにある説明の中ではアレジの家族を想像させるようなものになっていたが）
満男は寅さんの小説を書き始めどうやらここで長きに渡った大河ドラマの円環が閉じられたようだ
小説家の設定はここから逆算されたのかもしれない
物語上はいまだどこかを旅しているらしいが、あの阪神大震災の在日コリアン部落の廃墟の中にボランティアとして姿を消した本当の寅さんは逆に鮮やかで、そのまま永遠の姿になった気がしてならない
