Kz氏

男はつらいよ お帰り 寅さんのKz氏のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

癌死前年の1995年48作「寅次郎紅の花」で血の気を失った唇に紅をさした渥美清を見てから25年、2009年49作「寅次郎ハイビスカスの花特別篇」でCG合成の寅さんを見てからも10年余が経つ。
とらやは団子屋を廃して喫茶店になって博さくら夫妻が継いでおり、印刷工場もアパートに変わりあけみが大家になっている。源ちゃんは健在だが、御前様も代替わりしたらしい。とらや界隈は鬼籍に入った人ばかり。
落語のように憎めないアウトローのマンネリズムは、渥美清が体調を崩してからは、満男の「僕の伯父さん」の物語に変容していくけれど、本作も、中年となった満男と泉の結ばれぬ再会のストーリー。寅さんは帰っては来ず、その安否はわからない。
盆と正月が寅さん映画の封切りだったけれど、映画興行自体にそうした祝祭感ももはやなく、それも相まって淋しい作品だったけれど、思い出してみれば、祭りの後の寂しさが寅さん映画の味だった。
Kz氏

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