拓風

男はつらいよ お帰り 寅さんの拓風のレビュー・感想・評価

2.5
点数はほぼ回想シーンに向けてのもの。
たぶん評価してる方々のポイントもそこなのではないかと思う。

一言でどんな映画かと言うと、「一度解散したバンドが復活したものの新しい歌はうけないからと過去のヒット曲を合間に入れて場を持たせるライブやコンサート」と言った印象。

オープニングから怪しさが漂ってたけど、終始もやもやもやもや。
あれ、前と話変わってない?配役変えてその上キャラ変えてまで出す必要あった?結局おかえりしてないけど、など。

メインストーリーは違和感ある言葉遣いをする二人の再会を軸に進むけど、やたら目を向く満男と棒読み泉の、これまでの設定やお話無視のいつの間にかそんなことになってるストーリーを進められても感情移入できない。
そして空港のもなんだそりゃ。

ラストで満男は自分が見てもないものを回想して涙を流す。
キャストである渥美清が亡くなり、観る我々ももう寅さん自体にも会えないことを知っているので、いわばメタ的な意図もあるのだろうが、涙を流すと言うことは満男ももう帰ってこないとわかってるということではないか。

そして、初期の楽しさを作っていたキャストが不在となると、こんなにトーンも下がるものなんだと回想シーンのおかげで余計に実感。
これは作品を作ること前提で組み上げたお話だからかもしれないけど。

これならもう縁側で家族に淡々と思い出語らせて回想シーン入れて今頃どこにいるんだろうなあとか言わせて、逆にダイジェスト感を強めてもらっても良かった。それが面白いかと言われるとわからないけど。

一つのストーリーを持った作品としても、ダイジェストとしても、互いに満足できるものではなかったかな。
拓風

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