銀色のファクシミリ

SHADOW/影武者の銀色のファクシミリのレビュー・感想・評価

SHADOW/影武者(2018年製作の映画)
3.6
『 #SHADOW影武者』(2019/中)
劇場にて。『魁!男塾』に出てきそうな殺人傘が目を引きますが、作品全体は「影武者として生き、人生を振りまわされる男の物語」であり、三国志の孫呉vs関羽荊州軍をモチーフにしている「虚実入り乱れる陰謀劇」。登場人物の三国志あてはめも楽しい映画でした。

なによりチャン・イーモウ監督の映像美。黒白の濃淡で表現される水墨画のような世界と衣装が、古代中国を舞台にした物語に引き込む。物語を通底する陰陽思想と、床に描かれる陰陽太極図。こういう、いい意味でハッタリが効いているのも「俺たちが自慢されたい中華」らしくて良きでした。

物語が進むにつれ、決戦への期待値はあがるものの、言葉で語る作品なので、じれったく冗長な印象も受けました。ただ戦闘シーンは、注目点を先にみっちり教え込まれている状態で観ることになるので、充分満足。殺人傘を使った闘技も、敵将の必殺剣も熱くカッコよすぎ。

登場人物それぞれの思惑と駆け引きが交差する展開、冒頭とラストを絡める構成も見事で、最後にはいい映画観たなあ、という満足が残りましたよ。小艾役のスン・リーさんも、青萍役のクアン・シャオトンさんも、チャン・イーモウ作品らしい女優さんでした。感想オシマイ。