のりまき

エルヴェとの晩餐 ある映画スターの数奇な人生ののりまきのレビュー・感想・評価

-
ガヴァシ監督が温めていたネタがディンクレイジの成功により花開いた秀作。
スターの凋落はテーマとして平凡だが、記者だった監督の実体験だけあって静かながらもエモーショナル。地味な展開ながらディンクレイジの繊細な演技でエルヴェがただのうぬぼれやでも可哀想な障害者でもないのが素晴らしい。展開は上手いとは言えないが、おそらくエルヴェ自身が韜晦していた『黄金銃』のお披露目の思い出を対比させたのは参った。親として考えさせられるシーン。温めていただけあって、ロートレックとの重ね具合もいい塩梅。
楽しい作品ではないが、監督の心意気、ディンクレイジの侠気が感じられ、この作品が実現し、それを見る事によってハリウッドに食い物にされる無垢なるものへの鎮魂としたい。
のりまき

のりまき