Iri17

アストラル・アブノーマル鈴木さんのIri17のレビュー・感想・評価

4.8
群馬のYouTuberが暴れ回る話という人生こじらせ女子映画だけじゃなく、僕は新自由主義社会における階級闘争であると思うし、群馬と東京を対比させることで中央集権に対するアンチテーゼすら感じさせるのが凄いところ。

家族を蹴落としでものし上がる事への批判も感じるが、他者にルサンチマンをぶつけることで自分自身に目を向けられないララも批判的に描いている。
「メディアは嘘つく生き物だ」というのははったりと思い込みと責任転嫁で生きてきたララ自身にも言えることだが、嘘のない歌に向き合うことで泣きじゃくるのは美しさすら感じた。
『パリ、テキサス』のライ・クーダーを彷彿とさせる音楽も素晴らしかった。

松本穂香が予想以上にいい演技で、この人絶対すずさんとかauよりもこっち側の人間だろって思った。
とにかく監督のコメディ演出が素晴らしいなと感じたし、明らかにネット配信向けの映画でありながら、社会の正規ルートから外れてしまった主人公を明るく包み込むような『勝手にふるえてろ』や『あみこ』のような暖かさが素晴らしかった。

「普通ってやつが1番難しい」のよね、分かるよその気持ち。
Iri17

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