Timmy

バード・ボックスのTimmyのネタバレレビュー・内容・結末

バード・ボックス(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

物凄い緊張感だ……個人的にはクワイエット・プレイスよりも怖い。


外にいる何かを見たら自殺してしまう。正体不明の恐ろしい病?が蔓延した終末世界の話。


2人の子を持つマロリーは、自分と子供に目隠しをして、安息の地を目指す決心をした。
いつ死ぬかわからない極限状態の中、子供に名前をつけることもできず、母と呼ばせることもできず、彼女は安らげる土地を探す。
並行して、5年前、このような混乱に陥った直後の世界も描かれていく。


見えない何者かが世界中を闊歩している恐怖は凄まじい。わけもわからないまま、人々が自殺に追い込まれていく不条理は心臓が痛くなる。

5年前のマロリーたちが集う家は、まるで社会の縮図だなあ。誰の気持ちも分からなくもない。外の誰かを助けたい気持ちも、もう誰も匿いたくない気持ちも、全部わかるだけに辛い。

映画全体を通して見て、誰かを信じるって難しいなあ、というのがなにより感じた事。信じることも、愛することも、恨むこともなにもかも、他人とともに生きることはかくも難しいことなのか。




1人は自分の子供。もう1人は他人から託された子供。どちらも、生まれた時から自分の手で育てた。でも、どちらか1人を見張り役に立てなくてはいけない時、どちらを選ぶのか?
究極の選択を迫られた時のマロリーの決断が立派。
どっかに書いてあったけど、川を下るという行為は、本当の母親になるための試練なんだな。

というかこの撮影どうやってやったんだろう。壮絶だな。子役も偉い。かわいい良い子だ……。

どうでもいいけどこの映画は休日の大学で見たのだが、見た後に目を瞑って廊下を歩いてみた。終末世界シミュレーション。5歩で限界。これは無理です。歩けない。見えないって、怖い。クワイエット・プレイスの静寂も怖いけど、暗闇はもっと怖い。見えない世界への本能的恐怖が刺激される。

目隠し視点の映像があまりなかったのが惜しい気がする。布越しの、うっすら見える映像をもっと見せてほしかった。

ラスト、ほんの僅かの希望を見出せる世界へ、彼女たちは行けたのだとホッとした。あの場所は、トムが木の上から見た光景なんだな。

母の強さ、子を持つ事への歓びを感じた映画だった。

あと鳥さんめっちゃ可愛い。サザナミインコかな?
Timmy

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