marie

バード・ボックスのmarieのレビュー・感想・評価

バード・ボックス(2018年製作の映画)
3.2
初見。

怪物とはそもそも何なのか、という事は置いといて、多分これはサンドラ・ブロック扮する孤独な女性が心を開き、母性を獲得する話なのだろう…と思うのだけど、それにしては主人公の人物描写が甘いかなと感じた。

この手の映画の三本柱は
①世界観に説得力がある事
②物語自体に推進力を持たせる事
③登場する人間をしっかり描く事
私は①と②が弱くとも、③がしっかりしていれば割といいなと思うんですが。

初っ端から、家に引きこもって「繋がりなき人間関係」みたいな絵をぶつくさ描いているマロリーは、明らかに対人面で問題を抱えている。しかも父親不在の子供を身ごもり、出産しようとしている。なぜ?臨月になっても子供の存在を受け入れられず、産んだあとに名付けもしない。何が彼女をそうさせているの?
「母親になりきれない、人と繋がれないマロリー」という土台の部分において、説得力があまりない。「そういう設定です」と言われているような感じ。だから真に母親となり、子供を守り切るラストシーンにもいまいちカタルシスが生まれない。過去のマロリーが心に抱える闇や孤独をもっときちんと描くべきだと思った。

設定は秀逸。心に闇を抱えた者たちはいとも簡単に新世界に適応し、もともと「見えない」がゆえに負けざる人々は、閉ざされた楽園の中で生き残る。神と悪魔の戦いを匂わせるような余韻は好きです。
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