みほみほ

テッド・バンディのみほみほのレビュー・感想・評価

テッド・バンディ(2019年製作の映画)
4.0
🔪2021年108本目🔪(字幕)

没頭した。タイトルからどんな内容なのか想像がつくにも関わらず、作りとしては まるで冤罪の人間が貶められ、勝利を掴むまでを描いてるような雰囲気なんだけど、最後の最後で一気に突き落とされたというか…、最後に被害者とされる女性の名前がズラっと並んだ時に、残酷な現実を鮮明に突き付けられたショックで、堪えきれずに涙が溢れた。

今まで見せられた茶番は何だったのか…
どうしてリズは殺されずに愛されたのか……分からない事だらけで混乱する。

心理を理解しようとしても、異常過ぎて理解し難いのだが…あそこまで否定され続けると、本当にやってないのではないかとすら思えてくるし、本当の意味で真実が曖昧で、何ともスッキリしなかった。自己弁護が上手いのも頭脳が高いのも驚きだけど、「人間性の無駄遣い」という判事の言葉がかなり重くて、悲しみすら感じるやるせなさ。

ザック・エフロンは魅力的で素敵な俳優だと思うし大好きだけど、あくまで今回は演者に過ぎない。モデルの本物が強烈過ぎて、最後の実際の映像を観たら凍りついてしまって、あぁ…現実と映画はやはり生々しさが違うなとつくづく思った。

テッド・バンディの顔の雰囲気からしても、どんなにワイルド風にしても 適役はザック・エフロンではなかったんじゃないかな…と私は感じた。


あの類の犯罪者に女性ファンが多いのも超気持ち悪いし、あんただって近くに居たら殺されてたよ?と言ってやりたい。何故か殺しの対象にされなかったリズの心労は計り知れないし、他の女性を利用して自分の裁判を有利にしようとしていたテッド・バンディもかなり気持ち悪かった。

詐欺師の才能も伺える人間性と、内に秘めた恐ろしさが合わさって、自分まで騙されそうになっていたのが怖かった。

最後の最後まで話は動かないし、ずっと半信半疑で何を信じたら良いか分からなくなるけど、その間ずっと退屈する事もなくのめり込んでいたし、映画としては凄く面白かったので、スコア平均が低くてちょっとびっくり。

演者を小綺麗にまとめ過ぎてるのがちょっと気になったけど、実際の映像も観れるし、本当の戦慄はそちらにたっぷり詰まってるので、観終わった後の気持ちとしては、あぁ…映画観たなという満足感に包まれたので大満足でした。


終盤疲れたけど、ハーレイ・ジョエル・オスメントにとても癒されるし、マルコビッチ判事の言葉にもグッとくる場面が多かったです。
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