ペイン

ビーチ・バム まじめに不真面目のペインのレビュー・感想・評価

4.5
ハーモニー・コリンが紡ぎ出すもうひとつの“アメリカン・ユートピア”ないし、“素晴らしき放浪者”。

『アメリカン・ユートピア』と並んで、今年一番“劇場で映画を観る悦び”を味わえた1本。こういうご時世であるとか諸々あるのだろうけれど、こんな作品が都内で1館上映のみだったりというのはやはり惜しい。

8年前の前作『スプリング・ブレイカーズ』も素晴らしかったが、またネクストレベルにいった感というか、大人の余裕と洗練がその画面に映るすべてのものから伝わってくる。どのシーンを切りとっても多幸感で溢れてはいるのだが、同時にマシュー・マコノヒー演ずる一見ハチャメチャに見える主人公ムーンドッグには、一抹の寂しさと諦観が常につきまとっている。

町山氏とみうらじゅん氏がつけた邦題のサブタイトル、“まじめに不真面目”がまさに的確に本作の本質を表しており、孤独やこの世の不条理を人一倍認識している人間が故のふっきれたハチャメチャさであり、全力で“まじめに不真面目”してやるという姿勢なので我々はムーンドッグを愛せずにはいられなくなる。

その他、ムーンドッグの最愛の妻ミニーを演じたアイラ・フィッシャーのキュートさ(※ムーンドッグとのイチャイチャシーンは眼福極まりない)や、スヌープ・ドッグやジョナ・ヒルらもナイスガイだったのが、またザック・エフロンが素晴らしい。『ダーティ・グランパ』然り、彼が裸体を披露する映画=傑作になる法則あり。やはり映画はセックスとドラッグとバイオレンスが映える。最高だ。