何にも執着が無い主人公。強いて言えば自由に捉われているところはあるかもしれない。
前作の『スプリング・ブレイカーズ』では様々な登場人物の不安や葛藤、心の揺れ動きが三者三様に描かれていたけど、今作の主人公は自分のスタイルを完全に確立していて揺れ動くことは全くない。しかもほぼ主人公視点だから、前作と似ているようで割りと対極な作品な気がする。
奔放で自由気ままなのはいいんだけど、車椅子に乗せたおばあちゃんをノリで壁に勢いよく衝突させたり、おじいちゃんの頭を瓶で殴ってお金奪ったり(一応殴ったのは主人公じゃないけど)、麻薬をバンバンばら撒いたり、自分の中でどうも受け入れられない場面も多くて、観ていてあまり気持ちの良いものではなかった。
常識にとらわれない人は好きだけど、自分のことしか考えないで、人を傷つけるような無責任な行動を平気でするのはすごく嫌な感じ。映像は相変わらず綺麗だしはっちゃけた内容の筈なのに、作品は平凡な印象もして虚しかった。こういう風に生きたいっていう誰かの願望というか妄想を観ているような感覚になってしまった。Filmarksで圧倒的に評価の低い前作の方が個人的には遥かに好き。でもマシュー・マコノヒーの演技はハマっていたし、映像は本当に綺麗でした。
