安堵霊タラコフスキー

川沿いのホテルの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

川沿いのホテル(2018年製作の映画)
3.7
東京フィルメックスのオープニング上映されたホン・サンスの作品の一つだけど、いつも以上によくわからない感じではあった。

それからみたいなモノクロで撮られたけれども手持ちで撮られたせいで揺れが気になるって場面もいくつかあったが(意外にもどうやらあえて手持ちを意識してのものだったらしい)、それでも映像として心に残るものがあった点はホン・サンスらしさが感じられるものだった。

特に素晴らしかったのはとある場面で道路の隅っこに猫が写り込んだけれど、カットをせずそのまま猫が道路の奥へ走り去るまで映していた即興性のあるシーンで、この猫は意図せず映ってしまったものだろうけどそれを無駄にしない姿勢にはますます好感度が上がった。

でもそれから同様室内のシーンが多く、そういうシーンでもう少し小津やドライヤーみたく構図に凝ってほしいと思う箇所も結構あったのはちょっと残念だった。

展開としては家族と女友達の二組の他愛無い話かと思いきや、最後の最後に謎が残る描写となって疑問に感じてしまったけど、それ故に後々まで印象に残りやすそうな内容だとは思った。

どうでもいいけど北野武のようなリアリズムを追求してかホン・サンスも食事や酒を本当に口にさせるらしいけど、ということはガチで酔っ払って演者が口にした台詞とかも結構ありそうだ。