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轢き殺された羊のmaiのレビュー・感想・評価

轢き殺された羊(2018年製作の映画)
3.6
かなり好きな世界観でした。
しっかりと解釈できたかと言われると「無理だった」と答えるしかないので、その点は残念…。不勉強ですね、この映画の根底にある文化を共有できてないから、この映画に感銘は受けても共感はできないのだろうなと感じました。

轢き殺した羊の魂を救いたいという優しいシンパ、一方復讐のためにある人を殺そうとする別のシンパ…。
2人は名前こそ同じですが、やりたいことは全く正反対。
そして、羊を弔ったシンパは復讐のシンパを探し始めます。

ストーリーを追うのはなんてことないのですが、このストーリーのどこからどこまでが現実なのか夢なのか…その混沌に惹きつけられました。
どちらも現実なのか?どちらかは夢なのか?
羊を弔うシンパが、羊に見せられた「前世の自分を思い起こさせる夢」が復讐のシンパなのだろうかと思いました。
そして、その復讐のシンパの夢を羊を弔うシンパが叶える。これは映画の初めと終わりに出てきた言葉「語られた夢は忘れ去られるけれど、共有した夢は、自分の夢になる」的なチベットの言葉がなければ解釈できなかったかもしれません。涙

砂漠の中のシーンで、さらにユーモアも所々ありつつ…それでも描く世界は白昼夢かのような幻想的で圧巻の世界。
解釈できたか云々の前に「すごい」と思ってしまいます。

冒頭、会話が少なすぎて意識が飛びそうになってしまいましたが、後半のお互いの行動が混じり合うシーンからはグッと引き込まれました。
すごく人にお勧めしたい作品です。
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