Nakman

幸せへのまわり道のNakmanのレビュー・感想・評価

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)
3.9
大好きなトム・ハンクスの新作ということで観てきました。
子供向けテレビ番組の有名MCと取材に訪れた記者の友情物語(実話ベース)。
正直面白いのかどうか微妙ですよね?
予告編を観た感じでは僕も半信半疑でした(笑)

感想ですが、良かったです。
なかなか不思議な映画体験ができました。
というのも、子供向け番組のMCの物語だからなのか、子供向け番組を視聴しているかのような演出が多く新鮮でした。
ジオラマと現実世界を行き来したり、人形劇があったり、子供番組のセットの中に登場人物として出ることになったり。
ジオラマの感じが「マーウェン」で使われた手法と重なりましたが、今作のほうが見やすかったです。

気になったテーマとしては「Forgive(許す)」、「Anger Management(怒りのコントロール)」、「Death(死を受け入れること)」です。
トム・ハンクス(フレッド・ロジャース)が人生に苦悩する雑誌記者に対して優しく語りかけてくれます。
本来は取材でプロファイリング(正体暴いてやるぜ!)って息巻いていたのにいつの間にか立場が逆転(笑)
誰しもが生きていれば抱えるこの難しいテーマについて聖人のようなフレッド・ロジャースが嘘偽りなく思いを伝えてくれます。
もうね、優しさに包まれている感覚なんですよね。
ロジャースが長年生きて色々経験して得たものを惜しみなく提供してくれます。
ロジャースだって初めは苦しんだと、訓練の結果対処できるようになったと。

キャストは渋かったですがそれぞれ良い味出してました。
トム・ハンクスはもちろん最高でしたが、記者ロイド・ボーゲルを演じたマシュー・リスも苦悩してすべてをさらけ出す感じの表現が見事でした。
顔から雰囲気出まくりでした。
あとはロイドの父親ジェリーを演じたクリス・クーパー、相変わらずというか癖の強い性悪親父をばっちり演じてくれました。

また、映画体験という点で、斬新なシーンがありました。
1分間。
この作品を観た人はこの1分間で貴重な経験をすることになると思います。
個人的にはかなりインパクトありました。

結末は気持ちの良いもので観て良かったなーという気持ちになるものでした。
全編通して優しさに包まれてます。

昨今、色々とピリピリしていて上記のテーマを受け入れられない人が多いことを含め、それらを忘れさせてくれる癒しになるような作品でした。
本当ね、心洗われました(笑)
現代人は生きる上で小さなことを気にしすぎだなと。

そういった意味でお疲れ気味の方への処方箋としてこの映画をオススメします。
※効果には個人差があります(笑)

以上、「幸せのまわり道」レビューでした。
Nakman

Nakman