教授

ユメノ銀河の教授のレビュー・感想・評価

ユメノ銀河(1997年製作の映画)
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モノクロ画面の美しさ。
昭和初期の街並みを再現したというよりも、昭和初期の映画の画面の世界を再現したというような映像世界。
その中で小嶺麗奈の演技は本当に危うくてよろめいていて美しい。
惑星を回る衛星のように、恋しい男の周りをグルグル回り続ける。
不信から激しく恋に落ち切って惚れ込んで芽生える疑惑に翻弄されまくる。
だって、毎日生きててつまんないんだもん。というなんとも心憎さ。
対する浅野忠信の演技は沈黙の中では冴えるが、やはり、話すと…一瞬で現代劇になってしまうのが、残念。
黙っていれば本当にいい男。
石井聰亙監督の低迷期、なんて言われてたけど、僕は断然好きだ。
粗が見えそうな危ういところをできるだけ小さなお話にして、お芝居もできるだけ小さくして、極力極力無駄なものを省くだけ省いて、セリフに頼らず丹念に映し出していると思う。
何もわからない。
ただ愛しいから信じたいという、幻想の中でグルグル回る、という浮遊感は心地よい。
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