きよぼん

108~海馬五郎の復讐と冒険~のきよぼんのレビュー・感想・評価

4.0
「立ちバック歩きの高級女」
「乱れるチーママ」
「乱交女1」

エンドロールのキャスト表で笑っちゃった。なかなかにひどいワードであふれるエキストラさんの役名に、狂気を感じる映画。

妻(中山美穂)がfacebookに投稿した浮気の記事にイイネされた数は108。じゃあ仕返しに108人の女を抱きまくってやろうという夫(松尾スズキ)の狂気。期限は二週間。デリヘル、SM、乱交なんでもあり!時間が足りないからそこらじゅうでヤリマクリ!ムチャクチャなんだけど、そこがいい!やっぱスクリーンの中ぐらいは「狂気」をみたいですよね。

そして「狂気」なんだけど、自分にとっての「共感」と「願望」でもあります。正直いうけど、自分も有り金はたいて破滅してみたい気持ちってあります。風俗にいくかどうかは別にして、世の枠組みを踏み外してみたいという「共感」と、その「願望」をみせてくれるのが映画の面白さですよね。

タイトルには「冒険」という言葉が入ってるのが好き。舞台は未開のジャングルでもなく、異星人がいる宇宙でもありません。風俗の世界という色の世界。でも大人にとっては、世間の枠組みから外れてちがう世界に飛び出していく冒険物語なんですこれは。これぞ大人の遊園地映画です。

最初は戸惑いながら、少しずつエスカレートする松尾スズキの中年男性プリの好演がおっさんの心には染みると思います。

普通はここまでやらないぞという色のシーンの連続。メンドクサイからまとめて抱いちまえというローションのプールのシーンとかAVでもみたことない。映画的には流れがイマイチかなあ、というところもありますが、その欠点は気にならないくらい、全てをさらけだした松尾スズキに拍手。冒険、狂気、願望。これぞ映画的快楽!
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