ブロックバスター

アルファ、殺しの権利のブロックバスターのレビュー・感想・評価

アルファ、殺しの権利(2018年製作の映画)
3.5
フィリピン映画を見るのは初めてだった私の素直な感想。
「絶対また見たい」
なんというか表と裏のギャップが濃ければ濃いほど惹かれる、そんなストーリーだった。
今作はドゥテルテ大統領の下で独裁的に繰り広げられる麻薬取締捜査と、その裏で拡大する売人と警察の癒着を描く作品。

ただでさえ興味深い題材を、さらに魅力的にしているのがアクションシーン。
麻薬の売買が行われるアジトに入るシーンは、本物のSWATを出演させているだけあって、迫真の演技だった。
さらに、売人がゴミ溜め同然の所に奥さんと赤ちゃんと一緒に暮らして、警備員の目を盗んで麻薬を横流しにするシーン(なんと、麻薬を包んだ小袋を、伝書鳩の足にくくりつけて運ぶ!)など、ディテールの細かさには目を見張る。
ちなみにメンドーサ監督は「ドキュメンタリーを作るように、ディテールにこだわる」とのこと。
主役の警察官エスノピは正義感の塊のような顔をしながら、売人をこき使い私服を肥やす。
それだけでなく綺麗な奥さんと可愛い2人の娘に恵まれ、警察長から表彰され、さらに娘の学校のPTAに選ばれ…。
笑ってしまうくらいの成功を勝ち取るエスノピを見ていたら「地獄に堕ちろ…!」と思う人も多いはず。しかしエスノピはあっけなく最後を迎えてしまう…。
一貫して「ドキュメンタリー+ドラマ=ドキュドラマ」を貫く今作。
結構おもしろいぞフィリピン映画!今後も見逃せない。