いのさん

殺さない彼と死なない彼女のいのさんのレビュー・感想・評価

殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)
4.7
《光が彩る人間味100%映画》

(あらすじ)

何にも興味を持てず、退屈な高校生活を送っている小坂。ある日、教室で殺されたハチの死骸を埋葬しているクラスメイト、鹿野に出会う。周囲から孤立し、リストカット常習者で"死にたがり"の鹿野に興味を抱いた小坂。ハチの埋葬をきっかけに2人は一緒にいることが当たり前になっていく。Twitter発の今最も泣けるコミックを完全実写化。さまざまな痛みを抱えながらも、"生きる"ことの奇跡を鮮やかに映し出した新しいラブストーリー。第32回東京国際映画祭特別招待作品。

(感想)

原作を知らなかったため、コメディ要素の強い映画かなと思っていたが見当違い。とにかく泣ける映画だった。しかも、コメディ、恋愛の絶妙なバランスに加え、一見オムニバス形式で進んでいく多種多様の日常恋愛が全て1つの繋がったストーリーとして完成される。伏線や隠喩が多く、完成度の高いストーリー性に飽きずに見入ってしまう一作だ。
私はこの映画の見所は間違いなく「照明」だと思う。なんとこの映画は照明を1回も使っていない。全て自然光で撮影を敢行した。この監督のこだわりがこの作品を本当に素敵に作り上げている。冒頭のシーンから夜間の公園の街灯で照らされているシーンまで照明を焚かないことで、いかにも私達の私生活に根付いたナチュラルな雰囲気を醸し出している。
舞台挨拶で間宮さんが「この映画を観る前と観た後で、少しでも違う思いを抱いてくれたらこれ以上に嬉しいことはない」と話していた。
きっと皆さんの心にも響く作品だと思います。

一般公開は11/15〜です!
本当に私はこの映画を観れてよかったと思っています!是非劇場で泣ける体験をしてください!
いのさん

いのさん