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殺さない彼と死なない彼女のはるのレビュー・感想・評価

殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)
4.0
腐るほど量産されたどこにでもある青春ラブコメかと思いきや、実に風変わりな作品。
「殺すぞ」が口癖で何にも興味を持てない間宮祥太朗が出逢ったのが「死にたい」が口癖の桜井日奈子。この二人を含めた三組のカップルのオムニバス的な作品で、それぞれ独立した物語ながら後半でクロスオーバーもしていきます。
4コマ漫画原作という事で、会話のコミカルさが面白く、映画というよりコントを観ているような感覚でした。『セトウツミ』なんかの空気感に通ずるものがあると思います。後半はグッと泣かせにかかってくるのですが、個人的には中盤までのコミカルさの中に青春の葛藤をさり気なく垣間見せる部分が好きでした。芝居がかった(特に撫子ちゃん)演技もキャラクターに合っていて可愛らしかったですし、心の声の使い所が絶妙だと思いました。あと三組の物語の時系列が実はバラバラである部分なんかも面白かったですね。何となく手に取った一本でしたが、掘り出し物を探り当てたような気持ちです。青春映画の良作、非常に楽しめました。
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