トムヤムクン

あなたの顔のトムヤムクンのレビュー・感想・評価

あなたの顔(2018年製作の映画)
5.0
ミンリャン… 好き…

カメラの前で、最初はどこか居心地悪げに見えつつもついには笑顔を見せるおばさん、眠るおじさん、顔の長い爺さんはあまりにも静止している。死んだかと思ったよ。
撮影カメラという異形な機械の前に長く晒され、抑圧を感じる受動的な存在から、カメラに向かい笑いかけ、自らを開示したいという主体的欲望への移行。
撮影機械を前にしたときの不安は映画史上に確かに存在した。最初のオバちゃんの顔は、人々が機械という新たな環境に慣れていった過程のアレゴリーとして読むことが可能だ。
接写された顔は無言であろうとも、なにかを言いださんばかりの運動の兆しを見せている。
顔の写真があるのではなく、顔はそれ自体、過去のインデックスとしての写真なのである。
青春神話から20年以上が経過し、立派な中年となった李康生(リー・カンション)の顔を見よ。
トムヤムクン

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