回想シーンでご飯3杯いける

お嬢ちゃんの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

お嬢ちゃん(2018年製作の映画)
4.2
今泉力哉監督が本作に寄せたコメント「主人公を不機嫌にするという発明」がとても的を得ている。

まるで事前にアンケートでも取って設定したかのような好感度系主人公とは正反対を行く、本作の主人公みのり。一見、大人しそうな美少女に見えるが、合コンのトイレで強引に迫ってくる男、無神経なナンパ男、イケメンには甘いが同性には厳しい女など、、、世の中のくだらない連中に、徹底的にクールな態度を貫き通す様子が、今まで日本映画に無かった感じで、何とも斬新だ。

本作の根底にあるのは、人を見た目で判断するルッキズムに対する反抗。そして、主に男性が女性を支配的な関係に置こうとする女性蔑視に対するアンチテーゼ。

本作は、あの「カメラを止めるな!」を生み出した映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップで製作された作品なのだそう。鎌倉の観光地を舞台にした、「何も起きない」系のインディー映画に見えるが、もしこれが本当に「何も起きていない」ように見えるのなら、あなたもヤバい。映画業界でセクハラ被害の内部告発が相次いでいる昨今。その風潮とも無関係ではないかもしれない、怒りに満ちた作品である。業界に関係のない人も、襟を正して観るべし!