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惡の華のMKのレビュー・感想・評価

惡の華(2019年製作の映画)
4.2
原作も勢いで読了。
やはりというかよりしっかり心情と葛藤が描かれていたのと、最後の回収はより満足できた。

原作の方が常盤さんが魅力的だったのと、仲村さんの実写はのんちゃんで観たかったなぁと何故か思った。
スィート・プールサイド好きだったけど、作者同じだったんだ。

鬱屈とした田舎町、自分が何者でもなく社会的に何一つ恵まれていないことを自覚しながら、周りのクラスメイトが読まないような本を読んでいることだけで達観した気でいる地味な青年。

そんな青年が憧れの女子生徒の体操服を盗み、一部始終を見ていた女子のいいなりになることで歯車が狂い始めていく。

新緑の緑の並木道を手を繋いで歩いている時もエロい妄想をしていること。
腕を組んで胸が当たれば胸のことしか考えられないこと。
そんな男子が女子に隠したくて仕方のないことを露わにする中村さんは思春期の若者の自我そのものなんじゃないかと思い始めたあたりからグッと引き込まれた。

変態と正常はただの二項対立でしかなくて、どちらかに立っているのかではなく、自分がどちらにいるのかは世間なり退屈な理性が決めることだと改めて実感できた。

そんな醜い自我、変態な有様を遠ざけようと必死だった春日が次第に共存を始めた挙句、自我から見捨てられ母なる海で回帰して新たな母性に出会う感じ。

イニシエーションにしてもイサギ悪すぎてどこまでもダラダラと連れて行こうとする男子を突き放すかのような中村さんの一言と常盤さんへの告白。

流石の漫画原作、俺様王子がダラダラと女子を口説く青春ムービーとは違い納得の二時間超えだった。

またまた世代バレるけど古谷実を彷彿とさせるロックな映画だった。

という訳で観てる間に全巻購入。原作読んだら加筆したいな。
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