らくだ

インソムニアのらくだのレビュー・感想・評価

インソムニア(2002年製作の映画)
4.0
アラスカでの殺人事件捜査に赴いていた刑事・ドーマーは、霧の中で犯人を追跡中に、拳銃の誤射により相棒を殺してしまったという事実を隠蔽してしまう。その隠蔽の事実を知る殺人犯・フィンチに取引を持ち掛けられ、白夜による不眠と呼応するかのように心が揺れ動いていく…という、クライムサスペンスです。

不慣れなアラスカの白夜がもたらす強烈な不眠と疲労、それによる判断力や思考力の低下、そしてじわじわと外見にも表れていくアル・パチーノの不安感たっぷりのビジュアルが怖い…しかし1週間不眠とか…考えたくもないですね…(ぼくは一晩の徹夜も出来ないので)
そして当該事件の殺人犯を演じるロビン・ウィリアムズ、普段のヒューマンドラマやコメディに出演している時と同じようなにこやかな微笑みをたたえながらもその顔で人を殺し、刑事を脅し…という凶悪でサイコな役柄を演じているのがおそろしいんですよね。心の均衡を失ってギザギザになってしまっている刑事ドーマーとの空気の対比がまたそれを際立たせています。こんなやわらかいおじさんが人殺してるのイヤすぎる

不自然に明るい画面の中で終始じっとりと進み、主人公を応援できるものでもなく、決して派手な作品ではないのですが、そのゆるやかで静かな話運びと後味の悪さが非常に印象的な作品でした。
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