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ザ・ピーナッツバター・ファルコンのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.8
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
ザ・ピーナッツバター・ファルコン   (2021)
◆主人公たちのポジション
プロレスラーの養成学校を目指す
 ダウン症の青年とその友人
◆該当する人間感情 (24種の感情より)
 希望、歓喜、愛、好奇心

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・養護施設で暮らすダウン症のザックは、子どもの頃からの夢だったプロレスラーの養成学校に入るため施設を脱走する。兄を亡くして孤独な日々を送る漁師のタイラーは、他人の獲物を盗んでいたことがバレたことから、ボートでの逃亡を図る。
・そんなタイラーと偶然に出会ったザック、そしてザックを捜すためにやってきた施設の看護師エレノアも加わり、3人はザックのためにある目的地へと向かう…。

〈見処〉
①孤独な漁師と夢を追う青年。
人生で一度きりの特別な旅——
・『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』は、2019年に製作されたドラマ映画。監督は本作が長編初監督作となるタイラー・ニルソン&マイケル・シュワルツ。
・本作は、ツキに見放された漁師と施設から脱走したダウン症の青年、施設の看護師の3人が青年の夢をかなえるための冒険の旅を描いたヒューマンドラマ。主人公のダウン症のザックを演じたのは、本作製作のきっかけを作ったザック・ゴッサーゲン、タイラー役をシャイア・ラブーフ、エレノア役をダコタ・ジョンソンが演じ、ジョン・ホークス、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ブルース・ダーン、ジョン・バーンサルらの名バイプレーヤーが脇を固めている。

②本作製作の経緯
・この映画の監督・脚本を務めたタイラー・ニルソンとマイケル・シュワルツは障害者のキャンプに参加した際に、本作に主演することになるザック・ゴッサーゲンに出会う。その際にザックから「自分の夢は映画スターになること」と聞かされたシュワルツは「それは難しい」と答えてしまい、彼にショックを与えることになる。
・しかしながら、純粋なザックは「じゃあ君たちが僕の映画を作って」と発案したことが、本作製作の契機となる。
・ニルソンとシュワルツは、ザックの夢が滲み出るような脚本を書き、彼らの知り合いの人々にボランティア撮影を要請することで、製作費6.2万ドルの低予算作品でありながら、批評家から高い評価を受ける作品完成に繋げることが出来た。
・また、本作で共演する「ハリウッドの問題児」シャイア・ラブーフは、ジョージア州サバンナでの本作ロケ中に泥酔。迷惑行為に及んだために逮捕され、拘留中にアフリカ系警察官に人種差別発言を繰り返すというトラブルが発生。本作の公開が危ぶまれる事態にまで至ったが、その際にザック・ゴッサーゲンから「君はもう有名だけど、この映画が僕のチャンスなんだ。それを君が台無しにした」と咎められたラブーフは更生することを誓い、アルコール中毒の治療に真剣に取り組むきっかけとなった。
・2020年2月に行われた第92回アカデミー賞ではシャイとザックはともにプレゼンターを務めたが、それは2人の新しい旅路を祝うハイライトとなった。

③結び…本作の見処は?
◎:「幼い頃両親に捨てられたザック」「自分の起こした事故で兄を失ったタイラー」「若くして夫と死別したエレノア」の3人による再生の旅を描いた本作は、ロードムービーとしての魅力に溢れている。ジョージアとフロリダ州の湿原の風景も良い。
○: ザックとラブーフの2人による、演技とは思えない素の交流は、鑑賞者にも勇気を与えており、近年パブリックイメージの悪いラブーフの復活の作品となりそうだ。
○: 終盤のプロレスの試合では、80年代末期にジャイアント馬場率いる全日本プロレスに来日経験のある選手が顔を見せている。レフェリー役は「カクタス・ジャック」、ザックの対戦相手は「ジェイク・ロバーツ」。

④本作から得られる「人生の学び」
・友達とは「自分で選ぶことができる家族」
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