スチールラグ

ザ・ピーナッツバター・ファルコンのスチールラグのレビュー・感想・評価

4.0
「ぶちかませ!」
カールじいさんのこの一言で、物語は始まる。
いや、その前におばあちゃんの名演技があった!(  ̄▽ ̄)
軽快な出だしに思わずニヤリとする。

「人生を楽しむのさ」
かといって、脱走者と犯罪者の旅が決してラクな訳ではない。
でも、ふたりは共に泣き笑う。
サバンナの美しい自然とブルースがふたりを包む。
スイカで作ったヘルメットがめちゃくちゃ可笑しい。
僕も泣き笑う。
(残念ながらカブトムシは来ません。クワガタも来ません(´Д`))

「僕はダウン症なんだ!」
「それが魂の善悪を決めるのか?」
ふたりの確かこんなやり取り。
一番ずっしり心に響いた。
これは魂の物語。
魂の善悪に、障がいの有無は全く関係ない。
むしろ、ザックは純粋で疑うことを知らない。
善い魂とは何なのか?それを問うてくる。

途中、古い拳銃をぶっぱなすとんでもないジジイが出てくる。
(僕ではありません(;´д`))
でも、目が不自由な彼にはそれが分かっている。

「彼に適切なケアを提供するのが、私の仕事」
エレノアはそう言う。でも本当は彼女は分かっている。
ザックに必要なのは、保護ではなく、チャレンジするチャンスだということを。

「僕を助けてほしい」
もうひとつ、心に響いたのがこのザックの素直な言葉。
こんな簡単な一言が僕たちは言えない。我慢してしまう。
素直に言えれば良いのに。
そして、周りに居合わせた人たちがちょっと助けてあげればいいのに。
なんて生きづらい世界。

ラストシーンはもちろんハッピーエンドだけど、
僕は少しほろ苦く感じた。
彼らはハッピーを手に入れた訳ではない。
新たな旅の目印を見つけたに過ぎない。

彼らの新たな旅の幸運を祈る。
そして、少しでも生きやすい世界になれば良いなと願う。

「THE PEANUT BUTTER FALCON」ヒューマントラストシネマ渋谷20200213