柏エシディシ

ザ・ピーナッツバター・ファルコンの柏エシディシのレビュー・感想・評価

4.0
思いがけず、マトモにくらってしまいエンドロールの間、涙が止まらなかった
「ぼくは皆が言うほど壊れちゃいない、と思えるんだ」
取り返しのつかない事をおかしてしまい居場所を失った男が無垢な魂に導かれ、やがて甦る物語。

近年、その閉鎖的で荒涼とした環境が否定的に描かれてきたアメリカ南部、所謂「レッドネック」と呼ばれる人々。
「アメリカの無垢の心」を描いたマーク・トウェインの精神に回帰する様なストーリーと、その寓話めいた物語を誠実に紡いでみせたキャスト、スタッフ。
「世界の末っ子」として愛されたアメリカは、いつしか、その純粋さを無知と短慮と引き換えに失ってしまったのだろうか……

己の分身の様な主人公タイラーを演じたシャイア・ラブーフがとにかく、とにかく素晴らしい。相変わらず困った所のある男だけれど、才能に相応しい生き方をして欲しい。
シャイアと最高のケミストリーを生み出すザックはもちろんこの映画のハートを担う。
そして、2人を囲むハリウッド映画ファン垂涎の「イイ顔」の男たち。
ブルース・ダーン、ジョン・ホークス、トーマスヘイデンチャーチ……
極め付けのジョン・バーンサル!(最高のジョン・バーンサルの使い方。泣かせる)。
あのミック・フォーリーまで!
この暑苦しい面々の中、紅一点のダコタ・ジョンソンの嫋やかな育ちの良さが奏功してる。

弦を爪弾くカントリーミュージックの心地良さが胸に沁みる。
「友達は自分で選べる家族」、忘れ得ぬ言葉。
南へ旅行く人に、幸あれ。