ケイスケ

ザ・ピーナッツバター・ファルコンのケイスケのレビュー・感想・評価

3.9
タイトルのカッコよさに惹かれて一切の前情報なしで鑑賞。ダウン症の青年とチンピラ気質で孤独な男の旅を描く。

ダウン症のザックは老人養護施設で生活していた。ある日、ずっと憧れていたプロレスラーの養成学校に入るために施設を脱走した彼は、兄が他界した漁師のタイラーと出会い、意気投合する。一方、施設の看護師エレノアはザックを捜していた。

映画の雰囲気がめっちゃツボ。メイン2人のやり取りや旅の情景がアメリカンニューシネマ的というか。ダウン症の青年ザックを演じたザック・ゴッサーゲンはこれがデビュー作だそうで。公開前にラブーフが泥酔し迷惑行為を行い公開が危ぶまれたところ、ゴッサーゲンの言葉に反省してアルコール中毒のリハビリ施設に行ったとか。映画と真逆やんけ!

ラブーフ演じるタイラーはすぐ盗みをしたりするイヤなヤツかと思いきや、結構面倒見が良いんですよね。好きなシーンは2人が川を泳いでるときに船が通りかかりタイラーがザックを必死に助ける場面。ここ足を引っ張ったザックが何故か上から目線で「すげえ体験だったな、ほら行くぞ」って倒れたタイラーに言うのが面白い。

タイラーとザック、立場は違えど傷ついた2人が共鳴していく場面がとても愛おしい。この2人に加え、ダコタ・ジョンソン演じる老人養護施設の看護師エレノアが加わります。最初は引き戻しに来たザックを連れまわしているタイラーを毛嫌いしていましたが、やがてザックの心情を汲み取り仲間になることに。この3人のアンサンブルが素晴らしいですね。

登場人物が愛おしい映画を観ると、これから先も何度か見返して会いたくなる時ってありますよね。本作もそんな素敵な作品でした。97分というタイトな時間も◎。あ、最初の方でザックを飛び込み台から落としたクソガキも忘れがたい。このガキが異常に口が悪くて笑った。タイラーよ、ぶん殴ってくれてありがとう笑。