maverick

出国 造られた工作員のmaverickのレビュー・感想・評価

出国 造られた工作員(2018年製作の映画)
3.4
まだドイツが東と西に分かれていた頃、そこで1人の男が愛する家族を人質に取られ、北朝鮮のスパイとして利用されていたという衝撃の実話。家族を取り戻すために男は必死の行動を取る。主人公は工作員とかではなく、経済学者の普通の男。そのため大迫力のアクションシーンなどは観られない。普通の男が困難な状況に巻き込まれ、いかにその状況を覆すかが見所。実話ということもウリの1つ。内容的にも面白そうだと思ったのだが、最近の韓国映画には珍しく不発。Filmarksの評価もやっぱり低い。キャストは皆上手いし味がある。俳優は全然悪くない。撮影技術もしっかりしている。悪いのは脚本。この手の内容で面白い韓国映画はたくさんあるし、実話を基にした作品もお手のもののはずなのに。悪かった点として、ハリウッド映画っぽい作風で、そこを意識したあまり面白くなくなったんだと感じた。韓国映画って人情をリアルに描くのが上手くて、そこが優れている点であると思う。人間の汚い部分を生々しく描いたり、逆に人が本来持つ綺麗な部分を美しく描いて感動的に見せたり。本作はハリウッド映画っぽいスタイリッシュさにこだわりすぎており、海外が舞台ということもあって絵的には大作感があって壮大な物語に見えるが、心に響かない。この手のハリウッド映画はたくさんあり、大抵期待外れでがっかりするのだが、そういう悪い部分をそのまま真似しちゃったんだなと。韓国映画も技術的にはハリウッド映画と同じものが作れるんだよという証明はしているけどね。響くという点では、ラストの描写は良かった。実話を基にしたという部分を大事にしているのはしっかり伝わった。それだけに残念。それにしても韓国映画ってドイツと絡めた要素が多いね。『ベルリンファイル』も同じようにドイツものだったし。『タクシー運転手』、『国際市場で逢いましょう』など。何でだろう?
maverick

maverick