アキラナウェイ

トリプル・フロンティアのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

トリプル・フロンティア(2019年製作の映画)
3.6
"Netflix限定"という名の十字架。
映画なのに、映画になりきれない悲しい宿命。
アウトレットセールに出されるワケあり商品の様。
たとえ面白くてお勧めしたくても誰もが観れる訳ではない不公平さ。

だから"Netflix限定"って後回しにしてしまいがちなんだよね。

この映画もどうも評判が芳しくない。

でもそれって"Netflix限定"という足枷(あしかせ)が少しは影響している様な気がしないでもないし、劇場で観れないというハンデも少しあるんじゃないかなぁ。

南米の麻薬カルテルから金を強奪する計画を立てた"ポープ"(オスカー・アイザック)は、同じ退役軍人の仲間4人に協力を求める。一見成功したかに見えた計画は少しずつ綻び始め、南米の地で彼らは窮地に立たされる。

先ずは豪華なキャスト陣。
"ポープ"が呼び掛けるのは、ベン・アフレック、チャーリー・ハナム、ギャレット・ヘドランド、ペドロ・パスカルらが演じる4人の退役軍人達。

麻薬カルテルのボスが隠し持っていた金!
出るわ出るわの札束ちゃん達!

ヒャッハーーーー!!と浮かれる5人。

しかし、欲は身を滅ぼすとはまさにこの事。

必要以上に奪い取った金が彼らの重荷となり、南米からの脱出を困難にさせる。

嗚呼そうか、この映画をアクション映画と捉えるなら評価が下がるのもよくわかる。この映画が焦点にしているのは、欲に駆られた人間が生み出す悲劇だから。

然し乍ら、冒頭にド派手なアクションシーンはあるし、金の重みで失速するヘリの俯瞰図も、崖から落ちていくラバも、映像として見応え十分!!

命の為には金を捨てて行かねば退路が拓けないストーリー展開は俊逸。こんな骨折り損のくたびれ儲けってあるかよ!!

お金を捨てるのも、焚き火にするのも、勿体無さ過ぎるよー!!と画面に釘付けになっている僕こそ金の亡者か。

国が掲げる正義の為に戦った者達がその役割を終えた時、人生に行き詰まり、身に余る軍事スキルを生かすのが犯罪でしかないのは悲し過ぎる。

その辺りのアメリカの闇も描きつつ、ラストの台詞はウィットに富んでいて素晴らしいし、言う程悪くはない"Netflix限定"作品。