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アンカット・ダイヤモンドのumisodachiのレビュー・感想・評価

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)
4.1


一部で熱狂的に支持されていた本作。ようやく観ました!

借金まみれの宝石商ハワードは、取り立て屋にまとわりつかれてギリギリの状況。しかし、彼はエチオピアで採掘されたブラックオパールの原石という切り札があった。ようやく手元にきた原石のことを、嬉しさのあまり店を訪れていたNBAの有名選手に自慢してしまったものだからさあ大変。「この石には運命を感じるから貸してくれ」と持っていかれてしまう。原石をオークションに出品しないとヤバい!さあ、ハワードどうする……?

最初から最後までMAXのテンションで突き進むギャンブルムービー。アダム・サンドラー扮する主人公のハワードは、いらないことを言い、やらんでいいことをやってしまうギャンブル狂。今までどうやって宝石商やっていたんだよ!?と疑問に思うくらい短絡的に行動するアホなのだが、悪い人ではない。

若い店員を愛人にしていることで妻には愛想を尽かされていて離婚寸前。でも3人の子どもたちのことは好きなので(妻のことも好きなんだけど)、寝かしつけたり甲斐甲斐しく世話したりもしている。本人は打算で行動しているつもりなのかもしれないが、100%その場の感情で動くためにすべてが後手後手に回るし、周りを振り回しまくる。愛すべきバカキャラクターここに誕生だ。

そして、とにかく煩い。最初英語字幕で観始めたのだが、登場人物が一斉に喋り捲るシーンがほとんどなので目が追い付かなくてやめた。不快な人はとことん不快だろうなと思う非常に煩い映画なのだが、映像や音楽の使い方がこれまた尋常じゃないほどかっこいいのがミソ。

説明的なシーンやタメを完全に排除して、グイグイ寄るカメラ、ガンガン変わるカット。どんどん加速していく破滅へのドラマ。「それだけはやるなよ」というポイントをピンポイントで踏み抜いていくハワードに、イラつきを通り越して爽快感すら覚えてしまう不思議。しばしば訪れる妙なノリの会話に爆笑しつつ、物語は最高到達点へ突き進んでいく。

ユダヤコミュニティの日常が垣間見られるのも興味深かったし、イディナ・メンゼルが全力のアダム・サンドラーをも怯ませる迫力で良かった。本人役で登場のザ・ウィークエンドとか「必要だったか?」と思わないでもないが、無駄しかないのが本作の魅力なのでそれもアリ!めっちゃ面白かったからイヤなことがあったときなんかにまた観たい。

それにしても、「ダイヤモンド」じゃないのに変な邦題つけるのはやめなさいよ。



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