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報復の街をあとに~ペドロ12歳の旅立ち~ののんchanのレビュー・感想・評価

3.9
アカデミー賞のベネズエラ代表に選出されたという作品❗️

世界一治安の悪い国ベネズエラ🇻🇪
首都のカラカスを中心に、殺人、強盗、誘拐などの事件が多く発生している。殺人事件の80%以上が銃器を使用したものとされ、非常に危険な国である。

ブラジル映画『シティ・オブ・ゴッド』を観て、南米スラムの子供たちの悲惨な実態を目の当たりにし、胸がえぐり取られるかのような残虐な映像を忘れる事は出来ないが、この作品も冒頭から凄まじい。
小学生が話す内容か?やる事か?と目を疑う光景から始まる。

12歳のペドロは子供同士の喧嘩から、スラム街の少年をナイフで刺してしまう。ペドロの父親がその話を聞き、このままだと少年の家族から必ず報復されると察知し、息子を連れて街から逃走する。

ドキュメンタリータッチの長回し、台詞は最小限、劇伴もなく、生活音を全て拾っている。ただただ父子の心情をカメラが捉える事で、精神的緊迫感が返って強く伝わってくる。

母親は亡くなっている様子。その説明もないが、父親は日銭を貰える仕事で食い繋いでいて、ペドロをまともに躾ける時間もない。ペドロは父親に対し何か不信感を抱いていて、尊敬心どころか大人と同等の意識でいる生意気な悪ガキ。

だが、父親は息子に言葉は少なくも背中を見せて一心に守り通す。親の愛❤️
一緒に過ごす時間が増えていき、少しづつ父子の絆が深まりつつある中、これからの未来が決して明るくはない事が想像に難くない。

バッドエンドではないものの、ベネズエラの押し迫っている貧困問題を浮き彫りにしたラストが痛々しい。

息子役はスカウトで全く演技経験のないレジー・レイエス。凄い、素晴らしい👏


このような作品を観ると、日本の豊国さの有り難みと、一概には言えないが邦画の軽さ加減が強調される気がした😔
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