英国の作家マーク・バーネルの小説「堕天使の報復」を題材に飛行機事故で家族を失い自暴自棄の生活を送る女性が事故の真相を知り復讐を誓う姿が描かれる。喪失からの再起もの。手前の"女性版ジェームズ・ボンド"という触れ込みに興味を得てみた。また短髪姿に拳銃を構える主演のブレイク・ライブリーの体を張った悲壮の芝居が、すべてを失い地に墜ちた人間像を体現していて、娼婦がテロリストを追い詰めるという起ち上げは良かった。身も心もボロボロの状態で真相へせまる部分は、非常に肉感的でドラマティカル。ストーリーの動向は置いといても没入度がふかい。ジュード・ロウのメンター的な師の役柄も、一貫して作風に沿うような冷徹な芝居である。物語以上に音楽の使い方が厚みがありよい。全体的に家族の真の死の原因を身内が突き止めるという絶対的な主軸があり、終幕まで思惑が交錯して息つく暇のない劇的な映画である。