♪ Oh PLASTIC SYNDROME
本当の気持ち 忘れたから
切ない想いは つかれたから
これは掘り出し物でした。
いわゆるB級サスペンスですが、伏線はしっかりと張っているし、筆運びも悪くありません。先が読めそうで読めない…そんなバランスを絶妙に保っています。
物語の核にあるのは“自分の記憶探し”。
鉄板中の鉄板ともいえる題材ですよね。しかも、それを横軸としたら、縦軸には“妻の不貞”。こちらも身近な人間が疑わしく見える…という鉄板。
だから、面白くないわけがありません。
あっち系かな、と思わせといて、そっち系。
そっち系だと勘違いさせて、こっち系。
先読みすればするほど味わいが出てくるタイプです。
そんな中であえて難を言うならば。
役者さんたちの存在感は微妙でした。特にヒロイン役は本作のキモ。彼女が純真に見えれば見えるほど“不貞”というキーワードが活きてきますから、この辺りは素直に残念です。
ただ、これも予算のかける場所を選んだ結果。
冒頭の自動車事故(これがきっかけで主人公は記憶を失う)は頑張っていましたからね。メリハリをつけるのは大切だと思います。
まあ、そんなわけで。
着地点が読みやすいB級サスペンス。
逆に言えば、伏線を正々堂々と仕込んでいる…とも言えますので、期待値低めで臨むことをオススメします。
なお、邦題の意味を考えると負けです。
何が『プラスティック』なのか…どちらかと言えば、“ガラスの向こう側”の方が相応しかったと思いますが…というか、日本でB級サスペンスと言えば土曜ワイド劇場。ここは開き直って長めの副題をつけても良かったのではないでしょうか。
例えば。
「大事故から奇跡的に生還した男! 献身的で美肌の妻に秘められた謎が彼の人生を大きく変える! 硝子を飛び破った向こう側にある驚愕の真実とは!?」
どうでしょうか。ダメかな。