南

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドの南のレビュー・感想・評価

4.9
上手く言えないけど、すごく面白かった…。
面白いという表現は適当ではないけど…。

第一次世界大戦でのイギリスとドイツの戦いをイギリス目線で描いた作品。すごいのは当時の白黒映像をカラーリングしていてること。
当時の映像に音声はないから、物語は元兵士達のインタビューを切り取って語られるんだけど、映像はもちろん、このインタビューもかなり見応えがあって、映画館で観ることができてよかった。実体験を元に語られる戦場の緊迫感、どの戦争映画よりもリアルだよね当たり前に。

白黒から、戦いの始まりとともにカラーに変わるシーンはしびれました。すごい。


印象的だったのは、たくさんの10代の若者が年齢を偽って入隊していたことや、アウトドア感覚で戦地に向かったこと、兵士達は文明的な戦いが行われいるはずだと信じていたこと、戦いはシフト制で余暇を楽しんでいたこと、戦場で"生活"していたこと、終盤は戦争をやめたかったこと、終戦が告知されても、終戦の1918年11月11日11時まで大砲の音が止まなかったこと、戦いを終えて街に戻っても市民から称えられることはなかったこと、元兵士達が「戦争なんてするもんじゃない」って言ってくれて、かなしかった。そりゃそうだ。
国というでかい単位ではなく、個人の気持ちや命のやり取りを思い知る。


「1917」を観る前に知っておいた、

・第一次は塹壕戦
・ドイツの機関銃すごい
・イギリスがつくった戦車すごい
(実際にはでかい塹壕掘られてあまり活躍しなかったらしい)

とかその辺のことが繋がって、よかった。
あとは硫黄島でみて本当に恐ろしいと思った火炎放射器がここで登場したのか…と。文明…。毒ガスもこわい。でも戦争を通して多くの技術が発達したのも事実なのかな…。


監督いわく今まで一番個人的な映画ということだけども、
当時の映像のフレーム数を現代の映画のフレーム数に合わせながらカラー処理をするという途方も無い制作過程があったであろうことに、この映画への想いを感じるね…。

原題「彼らは成長しない」
邦題「彼らは生きていた」
現代技術の手の届く遠くない過去でリアルに起こっていたことだと改めて気づかせてくれる作品でした。
家で集中してみるの絶対大変だけどもう一度観たい。できればまた映画館で観たいな。
南