Tenjin

機動戦士ガンダム 逆襲のシャアのTenjinのレビュー・感想・評価

3.8
初代の映画3部作とこれを見て思ったのは、ガンダムは人が死にまくる話であるということでした。自分が普段緩めの作品ばかり見ているせいかもしれませんが、重要なキャラであっても容赦なく死なせていくのは驚きで、これが戦争のリアルということかもしれません。

連邦やネオ・ジオンの上層部の思惑より、現場で戦う人間たちのドラマのほうが面白かったりしますね。一番目立っていたのは一応ヒロイン枠(?)のクエスで、自分の内部にある欠落した部分を埋めてくれる相手に対する執着で動いているようなところがあります。親に愛されていないことの不満をまずアムロにぶつけ、それが駄目だとわかるとシャアに鞍替えするという節操の無さです。まあ、そうしたくなる気持ちもわかるのですが、どうも不安定すぎて個人的にはあまり好感は持てなかったですね。

一下士官から指導者的立場になったシャアはララァを失った過去にとらわれていて、ナナイやクエスから向けられる好意に形だけは応えるものの、心は伴っていない感じです。小惑星アクシズを落下させる計画も自己の不満の八つ当たりとまで言うと、流石に邪推がすぎるかもしれませんが。

それにしても、クライマックスでシャアが口走る「ララァ・スンは私の母になってくれたかもしれなかった女性だ」というセリフは謎ですね。年下の女性に対してこの言い方は解せませんが、男はいつになっても母なる存在を求めるということなんでしょうか。そういえば、ナナイの胸に顔をうずめたりしてたし。
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