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機動戦士ガンダム 逆襲のシャアのSUIのレビュー・感想・評価

3.0
2021.4.14 再視聴
前回見た時クェスを手当たり次第男に色目を使って女には片っ端から喧嘩を売っていく、と評したけど、今回クェスはただ父性を求めていただけと気づいた。だから若い男には興味をほとんど興味を示していない。
ていうか、アムロがシャアにそう説明してるんだから初回で理解しろよな…。
だが、同性に対してはやっぱり手厳しく喧嘩腰だった。

まぁそれはそれとして、全体的な印象としては初回ほどの不満は抱かなかった。
やはり2回目ともなると物語もだいぶ理解できるし、アムロの気持ちもシャアの気持ちにもある程度配慮できた。

しかしである、あのラストはやはり意味不明。
というよりは尻切れトンボ感を拭うことがどうしてもできなかった。

後のガンダムUCでは「アムロとシャアはサイコフレームの光の中で溶け合って宇宙を彷徨っている」とか言われている。
しかしそんな描写は本編ではどこにもなく、「ララァは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ。そのララァを殺したお前にいえたことか!」というシャアの衝撃発言に「かあさん?ララァが?」と動揺を隠しきれないアムロが堪らず目を泳がせて2人のラストカットとなる。
それまではロリコンだとさんざん言われてきたシャア、ここにきてまさかのマザコン白状である。
そりゃアクシズが地球から離れていくのも無理からぬ話である。
俺だって引くわ!

そしてチェーンが死んだ時に飛んでいったサイコフレームの欠片がアムロ達を導いたみたいになっているのがまた唐突で、やっつけ感は否めない。

と、どうもスッキリしないが、これ以降あの2人は出てこないので、兎にも角にも決着はついたのだろう。







アムロとシャアの決着を描いた物語…、なんだけど、それを彩る登場人物が薄っぺらい。
周りの男たちに色目を使い、それとは裏腹に女たちには片っ端からケンカを売っていくクエス。

主要な人物たちは次々と死んでいくのだけど、それがただの犬死でしか無い。
戦争なんだから理不尽にみんな死んでいく…。もちろんファーストの時に死んでいった主要な登場人物もみんな犬死なんだけど、そこには滅びの美学がしっかりと描かれていた。ランバラルの死に様にはシビれたものだ。
今作にはそれがない。

せっかく因縁の2人の決着なのだから、その周りを彩るシークエンスももう少し魅力的にして欲しかったし、クライマックスはもっとドラマティックにして欲しかった。
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