カカオ

Fukushima 50のカカオのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
3.8
試写会にて鑑賞。原作未読。
東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故に対応。当時、その場所で何があったのかがわかる。

試写会に当選したので何気なく観たが、率直に観る価値がある作品と思った。原子力に対する批判的な考えを持っている方もいると思うが、そんなことは関係無く、多くの方々に観て欲しいと思う。

自然の力を軽んじた考えを根底から覆させられる。あの日が来るまで、津波の破壊力を軽くみていた人は多いと思う。

福島第一は、津波の影響により非常用電源を喪失し、成す術が無くなっていた。それでも手動による操作で懸命に核の暴走を防ぐために取り組んでいた様子がわかる。

指揮命令系統における危機管理のルールの手順は、誤操作の防止を抑制するために、念には念を入れる役割がある。時として迅速な対応としての足枷になっていることがわかる。(相談事に即答できないテレビ会議)

海水注入の不純物混入による影響の話、本作品では、サラリと流れたが、虚偽報告をしながらも、間違っていない信念を貫き海水の注入を継続させている。

また、当時、東京電力の本店、原子力安全委員会の対応の不手際があったが、政府の慌てぶりが、事態を更に混乱させていることがわかる。

総理は、この大変な時期に現場へ視察したという事実が欲しかったとしか思えない。斑目(原子力安全委員会)会長の話では、総理がヘリから降りる映像を撮るので、しばらく待てと言われたことに対して、大事な時に何をやっているのだと嘆いていたと言う。総理対応に現場作業は停滞し、物質を持って来た訳でもなく、文句だけ残し成果物も無く去って行ったことがよくわかる。この一連の作業を停滞させた理由で水蒸気爆発に至ったと考えられている意見が多い。

結果として水蒸気爆発事故に至ったが、死者一人出すこと無く、最悪の中の最悪の結果に至らなかったのは、吉田所長の機転の良さと所員の懸命な努力の対応があったからに他ならない。

数年後、喉頭癌で亡くなるが、当時のストレスで寿命が縮んだのではないかと思ってしまう。

本作品の中では表せられない、もっと多くの苦労があったと思う。50を始めとする対応された全ての人の復旧対応に対して心から讃えたい。

渡辺謙が良かった。世界的な俳優であるだけに世界中の多くの方々が観るキッカケになることを期待したい。また、ベテラン火野正平、平田満の役割も良い。嫌われ役を買って出るタイプの佐野史郎、篠井英介も良かった。

以下は、気になったところ

わざわざ観ている側へわかるように大袈裟な復唱。観ている側に対して、この作業がうまくいかないと事態が深刻になる説明が多い。(しゃーないか、、、)

また、ちょいちょい不必要な小話が挿入されている。



2020.2.28追記
たくさんの方に観ていただきたいのに、もうすぐ上映のタイミングで新型コロナによるイベント事の縮小ムード。

密集となる映画館、客足が遠退くのが悲しい。
カカオ

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