バルボア

Fukushima 50のバルボアのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
4.2
3.11の地震直後の福島第一原発で何が起こっていたかを描いた事実を基にした作品。

原作も読んだが、ニュースだけでは知り得ない事まで描かれており、また映像で原発内部の様子まで詳細に再現されていて、こんな感じだったんだとよくわかった。

わかった事は現場はかなり壮絶な状況であった事。電源を失い、予備電源も津波の影響で失い、被曝やメルトダウンの可能性もあり、余震もある。現場とテレビモニター越しに無理な指示を出す東電本店の役員との温度差もあり。無謀にも現地にやってきた首相など。あらゆる困難と闘っていたのだ。

へたをすれば、東日本が壊滅してもおかしくない状況からよく守り抜いてくれたと思う。その人達を海外のメディアが評してFukushima50と名付けたという。

印象に残ったセリフは渡辺謙、扮する吉田の「決死隊を作ってやっている」である。相当な覚悟で臨んでいるのがよくわかった。自分自身だけではどうにもならないし、信頼できる部下や同僚に恵まれ、未来のある若手には無理させないなど、リーダーシップを発揮した人だったようである。

キャストは佐藤浩市や、火野正平など、適役であったが、首相役の佐野史郎が、威厳が感じられす、個人的には合ってなかったように感じた。当時の菅首相はイラ菅と言われていたように、奥田瑛二あたりが良かったと思う。

まだ復興は道半ばという状況で、エンターテイメントはまだ早いという意見もあるようだが、人間はどうしても忘れてしまう生き物。あの悲惨な状況でも、凄い人達が居たんだと知るだけでもいいと思うし、また考えたり、話し合ったりする事は大切だと思う。またこの作品を観て勇気づけられる人もいると思う。

一般の人は知らない用語(中操、スクラム、イチエフなど)がセリフに出てくるので、事前知識として知っていた方がわかりやすい。
バルボア

バルボア