コンテナ店子

Fukushima 50のコンテナ店子のレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
3.5
映画全体的に史実を忠実に伝えることを優先していたためにちゃんとしたストーリーがなく突拍子もなく次々と様々なことが起こりますが、その分リアリティーがある上にいつ何が起こるかわからないハラハラさがありました。

この映画において一番素晴らしかったのは撮影だったと思います。この映画の暗闇は本当に暗闇でした。周囲の様子がほとんど見えなかったですし、そこで聞こえる足音や機械の音が本当にリアルでかなり臨場感を味わえたと思います。音楽があんまりなかったおかげでそれらの音が聞こえやすかったのも良かったです。

また、キャラクターも良かったです。特にバックストーリーの紹介などはなかったですが、本当に普通の人の戦いを描いた作品な以上、そういう人たちには運命的な出会いなんかないと思うのでその方がリアルな気がしました。用語などの説明がないのもあって会話も仲のいい人間らしくて誰かが死にそうなときには本当に一人の人が死んでしまうという気持ちがありました。

ただ映画の作りからして仕方ないとは言えますが、話の後半部分は少し中身が薄かったように感じます。本編が震災開始とほぼ同時に始まるため、映画が進んで2日近く経ったころにはある程度事件が収束していて会話ばかりになっていて少し長く感じました。あと10分くらい短くしてもいいのかなと思います。

映画全体を通して技量も高いと思いましたし、久しぶりに命の重みを感じた映画でした。勉強にもなったし映画としても面白かったと思うので、映画が好きな人にはもちろんの事、ドキュメンタリーが好きな人にもお勧めです。
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