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ホテル・ムンバイのKのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.5
相対する2つの信仰心。
「お客様は神様です」と宿泊客を守り続けた善の心と、「神の御心のままに」と人間を殺し続けた悪の心。

極限状態の中でも人を想い続けたホテルマンの究極のサービス。高潔さと勇気を掲げた彼らは間違いなくホテル・ムンバイの戦士だった。

411人の死傷者を出した犯人はまだいたいけな瞳を持った少年たち。けれど、死神がタクトを振れば彼らは無慈悲な悪魔と化した。自分が操り人形なのだとも知らずに、楽園が待っていると信じて銃を片手に真っ赤な道を敷いてゆく。その先に待ち構えているのは地獄でしかないのに、歪な夢にとり憑かれて正義を遂行する彼らの姿に胸が締め付けられる。

ホラー作品以外の"恐怖"で涙が出たのは初めてだったし、犯人を想って泣いたのも初めてだった。テロの恐怖と、信じる力の光と闇を描いた非常によく出来た映画だった。これが実話というのだから恐ろしい。日本人の方も一人亡くなられたそうで…もう二度とこのようなことが起こらない世界であってほしい。
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