なち

ホテル・ムンバイのなちのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.2
これが宗教本来の怖さだなと思った。
宗教がある以上、戦争は無くならない。
信仰心とは時に間違った方向へいってしまうが、当事者達はこれが正義だと思っている。なんとも皮肉な話。

人にはそれぞれ信じるものや家族や生活がある。何を守るか信じるかで正義にも悪にもなる。信仰心とは、天使と悪魔の表裏一体なんだろうなと思う。

日本人はあまり信仰心を持ち合わせていない人種だと思っているが、世界は思っている以上に宗教に溢れているし、宗教紛争はほぼ確実に無くならないものだと思っている。崇拝対象が複数存在する時点で争いは避けられない。崇拝対象が同じでも、信仰は細分化され対立勢力となってしまうことも歴史上珍しいことではない。
そして洗脳じみたことをする宗教も多く、信仰心や崇拝が一概に良いこととも言えなくなっている残念な現実もある。人の信仰心を煽り、犯罪に手を染めさせ、あたかもそれが正義かのように言いくるめる。

歴史は繰り返されるものだが、二度とこのような凄惨な事件が起きないことを願うばかり。

主人公の男性が嫌味のない真っ直ぐな正義感を持つ誠実な男性でとても好感は持てたが、その分余計見ていて辛かった。

一切関わりのない私がこの映画を見て心の痛む思いをしたのだから、巻き込まれた方や遺族の方の想いなど量り知ることは到底できない。

でも「見て良かったな」と思える映画だったことは間違いない。
なち

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