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ホテル・ムンバイのHOHOのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.0
我々は普段様々なものから目を逸らしている。日本ではない国、異なる文化圏、イデオロギー…そこにある残虐な現実、救いのない態勢など、興味を持って目を配ることも稀だし、考えることもほぼないだろう。それは、自分たちの生活には何ら関わりがないと思っているからだ。見ないこと、考えないこと、知らないことがどれだけ楽か、我々は段々と学習していくのだろう。
でも実際は、世界の各地で起きていることが自分の身の上に起こりえないなんていう絶対はなくて、それらは「自分が体験するかもしれないリアル」なのだ。そんなことを感じさせ、実生活を送る我々に一瞬はたと立ち止まらせる、そんな映画って私たちにとって貴重なものだと思う。
この映画に出てくるテロリストの憎しみや、逃げ惑う市民の恐怖は、宗教もなく銃声に怯えたことのない私には理解し得ない。容赦のない物語展開をただ見つめることしかできない観客であることで、それを痛感する。自然災害のような、人間が明らかに何もできないものならともかく、人間が生み出したもののみで起きたこの災厄を前に、無力感を覚えるとともに、現実を直視する重要性を知る。「我々は無力だ」なんて思ってはいけない、まずは現実に向き合うことで、何か道が開けるかもしれない。
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