やまモン

ホテル・ムンバイのやまモンのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.2
【死と隣り合わせの平穏】

タージ・マハルホテルのテロ事件に基づいた作品。

終始緊迫感の漂う素晴らしい展開。
重いテーマをそのまま重いものとして受け止めつつも、色々な人間の側面を暴き出している、人間模様の描写は秀逸。
救いも絶望も、全ては人の中にある。判断を誤れば即座に人生の幕は下ろされる。世の中には避けられない偶然や不運もあり、どうしようもない。
不条理な運命に弄ばれなからも、必死に判断し、行動しなければ生き残れない。
そのような極限状況を見事に表現しています。
これが初監督作品??
スゴいですね。

当初、ホテルの中の人々にとって、テロは対岸の火事。ホテルの中は楽園さながらなのですが、いずれ硝煙と銃弾によってその楽園も終焉を迎える。
終末が迫り、死の前で人は皆平等だと気づいたときには、、、。

イスラムやキリスト教について書くと長くなるので割愛しますが、一つ言えることは、人間みな兄弟ではないということです。
生活習慣や宗教、文化が違う人たちとは根本的には理解し合えない。そういうものだということを理解した上で上手く共存していくしかないのでしょう。

私たちが生きているこの世界に、安全な場所など一つもないのです。