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ホテル・ムンバイのyukkeのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.4
テロが起きた時もホテルマンであり続けた従業員の勇気と誇りを描いた映画。

サスペンスやバイオレンスは苦手で普段見ないけど、これは事実だから、目を背けてはいけない気がして観に行った。

無表情で悲しい惨殺が繰り返され、実際のニュース映像が挿入される度、この事件が事実であることを痛感させられ、ますます胸が締めつけられた。

実際に逃げることができたのにホテルに残ったスタッフ、一度逃げたのにホテルに戻ったスタッフもいたという。
テロと戦いお客様を守ろうとした彼らの勇気に心から敬意を表したい。

だけど、正直観終わった後、すぐにはその称賛の気持ちは出てこなくて、
テロとは何なんだろう。この事件を起こしたテロリスト達は何を得たんだろう。という虚無感に苛まれて呆然とした。

ヒーローも悪役もいない。
生き抜く人も殺される人もテロリストも全て同じ人間。犯人もまた家族をもつ、家族を愛する人間だと描いている。それぞれが違う正義を信じている。
だからこそ、いつどこで誰が起こすのか予測できない。対策の仕方もわからない。東京オリンピック、大阪万博を目の前にして残った恐怖感はとてつもなく大きかった。

人は簡単に心を操られてしまう。
仕事でお客様と話していても、事実とは異なるネット情報に操られている人、偏ったご近所や友人の噂話に振り回されている人、そんな人をたくさん目にしている。

人の心は強くもあり弱くもある。
正しいか正しくないかは見る側面によって大きく変化する。そのことを忘れず、視野を広く持った考え方を身に付けていきたい。
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