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ホテル・ムンバイのhynonのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.0
2008年にインドで起きたテロ事件に基づく映画。
緊張と緩和の緩和がほぼなく、いつ殺されるかわからない緊張感が続く。

欧米人を何のためらいもなく殺すテロリストにも恐怖を感じるし、やたら対応が遅い警察にも苛立つ。
でもそれより、テロリストの少年たちを洗脳した大人たち、自らは安全な場所で電話越しに指示を与え、少年たちを最初から死なせるつもりで送り込んだ大人(首謀者)たちに憤りを感じる。
(イスラム教徒に憤りを感じるという意味ではない)

さらに言えば、最大の黒幕は「神」ではないか、と思えてくる。
つまり、何教であれ、何か1つのものを盲信し、他を排除しようとする独善主義がすべての元凶ではないか?

知人のキリスト教徒と仏教徒のふたりが、こんな話をしていた。
仏教もキリスト教も、基本的な教えはよく似ているし、目指していることろ(人類の平和と共生)は同じだと。誰も争いや殺し合いなど望んでいない。だから宗教の垣根を越えて連携すべきだと。
そのとおりだと思う。

今の世の中、こういう事件がいつどこで起こってもおかしくない(もちろん日本も含め)、と思わせる傑作だったと思う。
極限下での従業員たちの姿勢にも感動したし、テロリストを単なる悪役として描いていないのも、よかった。

ただ、ドキュメンタリー風の社会派映画と思いきや、意外とエンタメパニック映画のようでもあり、ちょっと戸惑った部分はある。
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