ベンジャミンサムナー

ホテル・ムンバイのベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.5
今年ベスト級。

マジで描写が容赦ない。

まずフロントにいる人間を無差別に撃ち殺し、ホテルの個室一つ一つに居る人も殺し、隠れてる人をホテルの従業員を脅して誘き出す。

観てる間、ずっと拳を握りしめて息が詰まりそうになり、「早くこの時間から解放してくれ」と願っていた。

このテロリストの虐殺描写が無慈悲すぎるから「バレるかバレないか」のサスペンスの緊張感も尋常じゃないし、延いては命懸けでお客を護ろうとするホテルマン達の勇敢さも際立つ。

主人公アルジュンが助けようとした女性や 、他の主要人物も感傷的な場面をほとんど挟むことなくあっけなく死んでいき、最後まで容赦なさが徹底されてる。

テロリストの青年が事情を知らない家族とやりとりする描写も、やりきれなさに拍車をかける。

ずっと昔から現在に至るまで、宗教や価値観の相違による争いや虐殺は絶えない。
だが、「(イスラム教に限らず)どんな神も、今、目の前にいる他者を想い、助ける人の崇高さには敵わない」と改めて問い質す傑作。